広告系案件を受けられるフリーランスになるには
先日、ある場所で仕事を発注する側の方とお話しをしたときに、1つ頭に残った話題がありました。
「写真・デザイン・イラスト…どの分野でもそうだけど、頼むならその道で長く経験している人にお願いしたい。」
私は写真学科を卒業してフォトグラファー1本で20年、人生を写真に全振りしているという今の時代では比較的レアな存在になってしまい、最近ではこの道の後輩にあたる若い人から質問をされるような立場になりました。
「なぜhirakushashinさんは写真だけでここまで続けてこられたのか」「どうしたら企業案件を撮らせてもらえるようになるのか」。
15年間は制作会社にいて自分で仕事を取ってたわけではないし、独立後もまだ結構苦労している身ではありますが、信用してお仕事を出してくださる方も確かにいらっしゃる。
前述の会話の中では、しゃべりが達者ではないためなかなか考えがまとまりませんでした。
改めて文字にして考えてみます。

増え続けるフォトグラファーの中で
カメラを含む機材の進歩のおかげか、参入障壁の低さゆえか、フォトグラファーはこの数年で爆増しました。
私は「道で石を投げたらフォトグラファーに当たる」という言い方をしています。
これは10年ほど前に仕事でドイツに行ったとき、現地の映像クリエイターがドイツの現状について言った言葉で、面白かったのでそのまま拝借しています。
ジャンルとしてはファミリーや個人を対象としていて、個人事業主や副業の方も非常に多い。
そしてその分野の方から、上で書いた「企業案件」について聞かれることがよくあります。
対価が良さそうなこと、土日ではなく平日に働けること、うまく行けば継続して仕事をもらえて安定する、などがメリットとして考えられているのかなと思います。
(この点の是非はここでは語りません)
求められるもの
企業案件と言っても幅はとても広いので一概には言えませんが、いくつか思いつく「これは必要」というものを挙げてみます。
カメラは最低2台いるよ、とかの話以外です。
- ライティングの技術 → 例えば、ある商品を撮影スタジオでも、工場の空きスペースでも、狭い会議室でも同じように撮る、というような技術です。
- 色の管理、カラーマネージメントの知識 → webで使うときと印刷で使うときにどんな仕事環境や設定にしておけばいいか、とか。
- Photoshopの技術 → 5年前に撮影した写真に、今年発売した新商品を合成して、みたいな仕事はよくあります。
- 写真の使用用途への理解 → web用・パンフレット用・ポスター用など、それぞれのデータ作り。
- 被写体への理解 → 商品にしろサービスにしろ、理解していないと依頼者の求める写真はなかなか撮れません。
本やYoutubeで得られる知識もありますが、体で覚えないといけないものもあると思います。
登り方はいくつかある
企業案件も含めた、フォトグラファーとしての階段の登り方をいくつか考えてみます。
全部、実際に私の友人や知り合いが辿ってるルートです。
いまはもっと違う道もあると思いますが、いつの時代にも当てはまる代表的な3つ。
- 東京に出てスタジオマン → 著名なフォトグラファーの直アシになる → 独立
うまく行けば間違いなくエリートコースを歩めるルート。ただし成功できるのはひと握り。収入的にはかなり長い間厳しいかも。
就職かアルバイトからのフリーランス化。独立までは自由はあまり無い。 - 制作会社や写真事務所に就職する
着実に間違いなくステップアップできるルート。有名になれるかは不明だが、何でも撮れるくらいの実力は間違いなく付く。経済的安定。
就職ルート。のちに独立すればフリーランス。自由度は低い。 - フォトグラファーをしながらアシスタントに入り現場を知る
今の仕事をしながら、空いている日はアシスタントとして働く。アシスタント派遣会社のバイトもあります。いろんなフォトグラファーと付き合える。
ただし気遣いができないと継続してもらえません。最も自由なパターン。
本気で写真を職業にしていきたいなら、就職というのは最強の手段だと思います。
プロの撮影を目の前で見て学びつつ、給料ももらえる。安定もしている。
続ければ続けるほど経験値も増えて、何でも撮れると思えるくらいになるかも。
自由契約の槍騎兵
就職すれば間違いないとは言え、現在すでにフリーランスの人であれば今から就職というのも難しい話です。
それでもフォトグラファーとしてさまざまな仕事ができるようになりたい、というときに、できることをいくつか挙げてみたいと思います。
自分も気をつけていることです。
- Webサイトを作る
絶対にやるべきことがこれです。できれば独自ドメインを取って、gmailではないメールアドレスを作ると、さらに良いと思います。 - Instagramを頑張りすぎない
インスタを頑張って疲れるくらいなら、Webのポートフォリオを充実させる。そして手渡しできるポートフォリオを充実させる。インスタから仕事が来ることは非常に稀だと思う。 - ポートフォリオは見せる相手によって変える
自信のある作品を前に入れるのではなく、相手のビジネスに適した写真を前に入れる。そのためにはさまざまな写真を撮る必要もある。全てが仕事のものである必要はありません。 - 人と出会う
拠点が大阪であればMEBICに登録する。拠点近くでクリエイター向けの施策をしている商工会議所に登録する。
ただしどちらも自分から飛び込んで利用しないと何もしてくれません。受動では何も生まれない。茨木商工会議所は活発です。カモン! - インボイス登録
制度としてはいろいろ言いたいことはありますが、インボイスを持っていない事業主とは契約しないという話は現実的にあります。 - ビジネス上のルールを知る
フリーランス法や取適法、契約書・発注書、著作権の扱い、見積書・請求書。個人向け撮影にはあまり見られない書面や権利がたくさん出てきます。自らの権利についても知っておく必要がある。 - お漏らししない
ビジネス撮影において、自分が見たもの聞いたものを誰かに伝えたり、ネットに公開するのは基本的にNGです。実績掲載でもきちんと許可を取りましょう。 - 仕事ではまじめに
ほとんどの場面で、相手は正しくビジネススキルを身につけている人ばかりです。その人と対等に話ができる言葉遣いや身だしなみでありたい。hirakushashinは短パン禁止。 - お試し価格にはしない
「継続してお仕事お願いできると思うので、初回は安く」みたいな話を信用しない。お試し価格にした相手がギャラアップしてくれる可能性は少ないです。 - どんな仕事でも楽しみを見つける
「この撮影は安いし、ちょっとイマイチかもな」という案件も正直あるが、その中でも何か楽しめる要素を見出す。どれだけ効率よく撮れるか考えながらやるとか、被写体の面白さを見つける、とか何でも。 - 凪でいる
環境や状況からの影響を押さえつけて、安定していつも同じトーンを出せる人が重宝される(ような気がする)。 - 「写真」に興味を持つ
写真を仕事にするとたまに陥るのが、金儲けの手段としてしか見えなくなったりすること。アートやドキュメンタリー、歴史など、自分のビジネス以外での写真というメディアに興味を持ち、多くの写真集などを見てほしいです。 - 地味な仕事である
パッと鮮やかな花火が上がるような仕事をする人はほんのひと握りであって、9割の人はコツコツと関係を築き、堅実に着実に仕事をしている人ばかり。華やかに見えている人はそう演出しているだけ、だと思うようにする。
一生、準備中
「長く経験している人にお願いしたい」という言葉から始めましたが、年数だけで決まるわけでもありません。
仕事を出すのも受けるのも人なので、若い担当者が、一緒に成長していける年齢の近いクリエイターを選ぶこともあります。
価値観が近いことも重要なこの業界では、むしろ年齢が近い人に依頼することは多いです。
だとすれば、年数が足りないとしても、そのときに選ばれる準備をしておくことは大事なことです。
上に書いたことが全てでもありませんし、必ずチャンスをモノにできるとは言えませんが、参考になれば幸いです。
私も引き続き、準備を整えて待ち続けたいと思います。
※hirakushashinでもたまにアシスタントを募集しています。直アシや定期的なお仕事ではありませんが、単発でもいいという方はLINEや問い合わせフォームからご連絡ください。


