真夏の炎天下で広告撮影するために準備したこと
こんにちは、hirakushashinの森脇です。
先日、ある企業さんの撮影を丸2日間かけて行いました。
真夏の屋外で40数名の社員ポートレートを次々と撮影するという内容。
準備から当日の工夫までいろいろ考えさせられる現場だったので、備忘録も兼ねたまとめです。
受注
今回担当したのは、ある会社のウェブサイト用の社員ポートレート撮影。
提示された希望は、
・40数人を同じ場所で統一感あるイメージで撮りたい
・緑を背景にした写真
・空気感のある写真にしたい
というものでした。
ただのスタッフ写真ではなく、会社の雰囲気や価値観まで伝わるようなビジュアルにしたい、という意向。
緑があること、社員全員が撮影に参加できることから、本社敷地内の駐車場スペースが撮影場所に選ばれました。
フォトグラファーとしてまず考えるのは
撮影日が決まった時点で、すでに当日の香盤表はほぼ固まっており、30分ごとに2〜3人ずつ撮影する流れ。
当然、社員さんは日常業務の合間に参加されるため、スケジュールは被写体優先。撮影は朝から夕方まで長時間にわたります。
屋外で長時間となれば、まず気になるのは光の変化。
そこでロケハンを行い、太陽の動きや影の出方、日陰になる時間帯などを確認し、破綻しにくい位置を見極めてディレクターと共有しました。
また、私は人物撮影にはCanonを使うことが多いのですが、今回は「空気感のある写真」を重視し、FUJIFILM GFXを採用。
現場の距離感を踏まえレンズもレンタルし、大きなボケと豊かな色彩表現を活かせる体制を整えました。
天候と暑さについて
これだけの人数を屋外で撮る時点で、天候は大きなリスク要因です。
曇りや雨なら撮影ができないし、快晴であっても時間帯によって光の印象は変わります。
それでも屋外に挑む以上、安全に、そして安定して撮り切ることが最優先。
天気は祈るしかありませんが、晴れたらそこからは「暑さ」との戦いです。
そして暑さ対策で真っ先に考えるべきは、人間よりも機材の熱中症。
・テザー撮影を前提にするとMacは高温に弱く、熱暴走や強制シャットダウンのリスクがある
・GFXも大判センサーゆえに発熱しやすく、過熱で停止する可能性がある
どちらも撮影が止まる致命的な事態につながるため、熱対策をどう組み込むかが大前提でした。
準備したもの
[光のコントロール]
・レフ板と自作ディフューザー → 自然光用。ディフューズには1m四方の半透明プラダンを使用。トレペなどでは風で煽られて破れたり固定ができないため、ある程度固さのある素材が必要と判断。また、太陽の位置に合わせて角度や高さを変える必要があり、センチュリースタンドとブームに固定。
・ストロボ2セット → 人工光を使う場合の準備
[暑さ対策]
・Macの日よけ:ライトスタンド+フラッグ
・カメラの日よけ:三脚に装着するアンブレラ(晴雨兼用)
・ポップアップテント → 機材・飲料を日陰に保管
・大型保冷バッグ+大量の保冷剤 → 飲み物とバッテリーを冷却・保管
[屋外ロケ長時間対策]
・GFXはテザー撮影で常時給電 → バッテリー切れの心配なし
・Macはモバイルバッテリーでサポート
[安全対策]
・ライトスタンド用ウェイト
・アシスタント1名 → レフ・ディフューザー操作と安全確保
今回の現場は駐車場だったため、車を機材置き場として使えたのは大きな助けになりました。
ただし車内は高温になるため、バッテリー類全て取り外して必ず保冷バッグへ。
当日の現場では
最終的にはストロボは使わず、全て自然光で撮影しました。
理由は、
・駐車場なので車の出入りがあり、機材の移動が頻発する
・風で倒れるリスクを増やしたくない
・太陽というメインライトの位置変化はストロボでは補えない
すべて自然光に任せ、状況に応じて調整しました。
・午前:逆光 → レフ板で光をまわす
・午後:直射日光 → ディフューザーで上半身に当たる直射を拡散し柔らかい光へ
・同じ場所で撮影のためMacとカメラはほぼ固定。常に日陰を確保するためアンブレラやフラッグを調整
・待機機材は車内で保管、バッテリーは保冷バッグに収納
・アシスタントがレフとディフューザーを担当
・スケジュールに余裕ができれば、室内に退避して機材とスタッフをクールダウン
足さないこともまたライティングの一つの方法。自然光をどう整えるかに徹した撮影でした。
もしあれが無かったら
今回のセッティングがベストだったかどうかはわかりませんが、もしこれが無かったらどうなっていたか。
・アンブレラとフラッグ
→ カメラやMacがあっという間にオーバーヒートし、撮影が止まっていた可能性。
・アシスタント
→ 高さ3m近くまで上げたディフューザーは風に煽られれば簡単に転倒します。使用場所が斜面でもあったため、ウェイトだけではカバーできません。
・ディフューザー
→ 直射日光が当たる時間以降は、人物がギラギラした光に晒されてしまい、イメージ通りの写真にならなかったでしょう。
・ライトスタンド用ウェイト
→ Macの日よけスタンドの足元に使用。なければ風で転倒し、機材に被害が及ぶ可能性がありました。
・保冷バッグと保冷剤
→ ストロボやカメラのバッテリーが高温になり、ダメージや動作不良、最悪の場合は膨張・破損の恐れも。
・ストロボ
→ 今回は使用しませんでしたが、曇天が続いた場合などには保険として必要になる場面があったかもしれません。
特に「高さのある機材」は本当に簡単に倒れます。
安全確保という意味でも、アシスタントは不可欠な存在です。
クライアントやスタッフが善意で支えてくれることもありますが、それを当てにしてはいけません。
もしそれで倒れて、機材の破損や人身事故が起こった時のことを考えると、簡単には任せられないですよね。
(仮にアシスタントさんが誤ってミスをすることもありますが、それはよっぽど故意や怠慢が酷い場合を除けば、全てフォトグラファーの責任です)
まとめ
屋外ロケは「技術」だけでなく、準備・判断、そして現場を止めない段取り力が仕上がりを支えます。
どんな現場で、天候や時間帯によって何が起こり得るか。
写真を撮るスキル以上に、事前にどこまで想像できるかが大切だと改めて感じました。
それと、言うまでもなく夏の暑さが撮影にとって非常に大きな敵となっています。
これから先も機材の高温対策とスタッフや被写体の健康管理は欠かせません。
カメラやライティングスキルだけではなく、フォトグラファーとして現場環境を整えることまでを意識していく必要があると感じています。





